困っている人を助けてあげたい、病んでいる人を救ってあげたい、多くの医学生はそう思って医師を目指していると思います。しかし、医学部を卒業して医師国家試験に合格すれば気持ちひとつでそんな医師になれる、というわけではもちろんありません。医師は医師免許をもらってから作られていきます。どんな医師になるのか、なりたいのか、自分の進むべき方向を決める時期が初期研修期間であり、臨床研修病院はその手助けをするところです。私たちは臨床医です。指導医も研修医も臨床医です。地域の人たちの健康を守り、病める人たちの支えになりながら、実は自分たちも成長させてもらっているのです。ですから臨床研修というものはずっと続いていくものであって、初期研修医だけのものではありません。そういう視点を大切にしながら、常にon the job trainingの気持ちを持ち続けたいものです。
私たちはずっと初期臨床研修を大切にしてきました。1994年に初期臨床研修病院の指定をうけましたが、それ以前より研修医を受け入れてきました(私もその一人です)。当時大学病院などの大病院で初期研修を行うことが主流である中、256床の病床数は日本最少であり、外来研修や往診研修など、地域に密着した医療そのものの研修が認められたものと思います。2004年の新しい研修制度に移行したのちも、このような地域病院ならではの研修を大切にしつつ、必修科目を網羅するプログラムを作ってきました。どのような臨床医が良い医師とされるのかは、どのような医師が地域で必要とされているのかと表裏一体です。この間研修制度が何度か変更されましたが、当院の研修に対するspiritは普遍のものです。
医療というものは病院で完結するものではなく、診療所や訪問看護ステーション、様々の介護分野との連携で成り立っていること、また病院の中でも様々な職種の人たちのつながりの中で行われていることを、ぜひ実感してください。初期臨床研修の目標は医療技術の獲得だけではなく、チーム医療の実践、患者さん目線の思考、取り巻く環境への配慮など、bio-psycho-socialといわれる複合的な問題解決能力の獲得も含まれます。大切な2年間です。私たちと一緒に臨床研修しませんか?
プログラム責任者 岡村 博